外国製スクーターにおいて、納車整備は非常に重要だと私は考えます。外車は壊れやすいとよく言われますが、少なくともピアジオ社のスクーターに関しては整備さえしっかりされていれば非常に丈夫なスクーターであると思います。そもそも私がベスパを好きになったのもその丈夫さ故です。
個人的に長持ちする物が大好きです。自分が物を買うときでもそのことを一番考えて買うことが多いです。自分が買った物の中でも実際10年20年使い続けている物がいくつもあります。洋服や靴、カメラ、自転車、時計、バイクなど流行に左右されるのではなく時代が変わっても、本当によい物は変わらないはずですし長持ちする物であると思います。それらの物は長持ちするだけでなく長く使えば使うほどに味が出て良くなってきます。ここで重要なのは自分が使い続けて年輪を重ねたということです。ビンテージのジーンズに何万円もの大金を払うことは私には理解できません。自分が使い続けて古くなったからこそその歴史に重みがあるのであって、ただ古いと言うだけでは単なる骨董趣味です。(もちろんそれが好きな人を否定はしません)しかし、20年30年と使い続けた重みというのはお金で買えないと思いますし、私は格好良いと思います。
ベスパはそのような年輪を重ねることのできるスクーターだと私は思います。ですから、より永くベスパに乗って頂けるよう最善の納車整備をしてるつもりです。はっきり言って全く採算ベースではありません。無駄な整備であれば私もこれほど面倒くさくて時間の掛かることなどやりたくありません。もちろん5年10年いや20年先のことを考えないのであれば必要ないかもしれません。そのような人には無駄な整備かもしれません。しかしそれにしても当店の納車整備料が高いのでしょうか?同じような整備内容でもっと安いよというところがあるかもしれません。しかし、ここでお見せしている整備内容はあくまで一部ですので、当店の整備内容はどこよりも充実しているというつもりです。もちろんこれからもより一層の努力はしていくつもりです。当店の納車整備は常に進化します。
以上のことを念頭に置いて整備する際のポイントは以下の3項目です
1, ベスパの持っている本来の性能を引き出す。ほとんどのベスパは本来の性能を引き出せないままに乗られていることが多いです。ちゃんと調整、整備をすれば乗り易くもなりますし非常に長持ちします。
2、トラブルの元は予め対策をしておく。一般に壊れやすいと言われるところでも対策をしておけば大丈夫なところが多いです。
3 、後々に再整備する場合のことも念頭に置いて整備する。10年20年立てばある程度再整備する必要はもちろん出てきます。その際にも整備をしやすいように予め対策しておくとよけいな部品を交換しなくてもよくなりますし整備の際に機械を傷めることも減ります。
ちなみに、納車整備は新車だけではありません。中古車に対しても、特にビンテージシリーズなどの場合はほとんどの車体において、エンジンオーバーホールやワイヤー交換(アウターごと)を施しています。中古車の場合新車より手間がかかりますが一定以上のクオリティーを維持するには妥協できません。その分価格は安くないですが、程度の悪い中古をあとから修理するより絶対に割安です。
もちろんこれだけやっても機械である以上故障が100%無くなると言うことは無いでしょう。特に新車の初期不良の場合は目で見ても分からない部品の故障というのが(特に電気系統)あります。しかし、それらの場合は不良部品を交換してやればその後は問題ありません。直しても直しても壊れるトラブルというのは根本的な修理をしないからであってちゃんと整備すればそのようなトラブルは基本的には無いでしょう。
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