ベスパ Q & A



- エンジン編 -



エンジンの下が真っ黒にオイルで汚れているのですが故障でしょうか。

 ベスパのエンジンはシリンダーヘッド部分にガスケットが入っていませんし、シリンダーのベースパッキンもアルミ製の薄いシートだけです。またエキパイ部分も密着度はあまり良くありません。黒いオイルの場合はそこらから出てくる廃油ですのでそれほど問題はないでしょう。ただし、あまりにもひどい場合はベースパッキンが逆さまに入っていたり、どこかが緩んだりしている可能性もありますので一度きちんと調べてもらったほうが良いでしょう。
 また、これらのオイル漏れはシリンダーを組み付け直して液体パッキンを使用することにより止めることはできます。
 当店のベスパは納車整備で必ずシリンダーまで外してチェックしていますがその際組み付けるときにはオイル漏れ対策をしています。
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チャオの最高速はどれぐらいですか。

 だいたい45km/hから50km/h位でしょう。これ以下の場合はどこかおかしいです。またチャオの初期ロットにはメーターが実際の速度以下しか表示しないものもありましたので、最高速が30km/hというような人は一度チェックしたほうが良いでしょう。
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PXのオイルポンプは信頼性がないので混合に仕様に換えたほうが良いと聞いたのですが。

 一部でそのようなことを言う人がいますが、基本的にオイルポンプ自体が不良というのはほとんど無いのではないかと思います。ただし、組み付け不良等でオイルポンプ周りからオイルが漏れるようなことは在りますので、オイルポンプ自体の不良というよりあくまで整備不足による潤滑不良の可能性が高いです。
 ちゃんと整備されたPXであればまず問題無いはずですので混合にするのはナンセンスでしょう。
 ちなみに今まで当店で販売したPXでオイルポンプ自体の故障によって焼き付いたPXは一台もありません。(年間で結構な台数を納車していますが。)
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3ヶ月間ベスパに乗らなかったらエンジンがかからなくなった。

 ビンテージシリーズは混合ガソリンのためガソリンコックをオフにしないで長期間放置した場合キャブレターの中でガソリンだけが蒸発しオイルだけが溜ってキャブレターが詰まってしまいます。また、ガソリン自体も変質しやすいです。そうなるとキャブレターのオーバーホールをしないと直りません。長期間放置するときは必ずコックをオフにして、エンジンが自然に止まるまでかけっぱなしにしてキャブレターの中のガソリンを抜いておきましょう。
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ミッションオイルはちゃんと入れたはずなのに、交換しようと思ったら入ってなかった。外に漏れた形跡はありません。

 クラッチサイドにあるオイルシールが不良です。オイルシールの密閉が悪いためにミッションオイルをシリンダーの方に吸い上げてしまっているのです。たぶん、ミッションオイルを交換したあとにいつもよりマフラーから出る煙の匂いが違っていたはずです。修理はクランクケースを割らなければいけませんので大変です。
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50sなのですがどうもパワーがありません。

 パワーが出ない原因にはいろいろありますが結構多いものにマフラーの詰まり、キャブレターのパッキンが逆さまに入っている、ポイントギャップの狂い等があります。このうちキャブレターのパッキンが逆さまに入っているというのは一時期かなりありました。わざとそうしてあるなどという人もいるようですが、単なる組み付けミスです。いずれにしても紙面では診断できませんのでショップで診てもらいましょう。
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4000km以上走ったベスパはエンジンをオーバーホールしないといけないと聞いたのですが。

 決してそんなことはありません。それどころか本調子の出るのが5000km位からです。4000kmでオーバーホールしないといけないのなら乗ってられません。ベスパのエンジンは国産のエンジンに比べてはるかに耐久性があります。エンジン本体に関していうなら走行距離よりも使用年数のほうが問題になります。走行距離が少なくても年数のたっているものは(特に長期放置されていたもの)はオイルシールが劣化して役に立たなくなっているものが多いからです。古くても動かし続けているベスパのほうが調子は良いことが多いです。
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チャオなのですがエンジンを止めるときにマフラーからパンという大きな音がします。何処かおかしいのでしょうか。

 チャオはデコンプレバーでエンジンを停止しても惰性でエンジンが回転している間は気化したガソリンがエンジン内に入っていき、マフラー内まで充満する場合もあります。また同時にプラグの火花も飛び続けていますので、その溜ったガスに点火してパンという音がします。車体が完全に停止する前に走りながらエンジンを止めるとなりやすいので、かならず停車してからエンジンも切るようにしましょう。これはベスパでもいえることです。
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走行中に後輪がロックして止まってしまいました。その後エンジンはかかったのですが大丈夫でしょうか。

 俗に言う「抱き付き」というやつで、焼き付きの一歩手前の状態です。瞬間的に焼き付いたのですが損傷がひどくないために再始動は可能という状態です。ピストンとシリンダーに傷が入ってしまっていますが、その後ちゃんと動いているようならとりあえずは大丈夫でしょう。ただし、後々後遺症が出る可能性はあります。
 問題は、なぜ抱き付きが起こったかにありますので一度調べてもらったほうが良いでしょう。オイルシールの不良などの可能性があります。
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信号待ちでスロットルを戻すとエンジンが止まってしまいます。こんなものでしょうか。

 そんなものではありません。アイドリングの不調はただ単にアイドリングを低くし過ぎているとか、スロージェットの詰まり等が考えられます。とりあえずアイドリングを高くしてみましょう。例えばビンテージシリーズの場合は、キャブレターの一番上に付いているスプリングの付いたネジを右に締めこんでいくとだんだんアイドリングが高くなっていきます。
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50sをボアアップしたいのですがどこまで大きくできますか。

 やろうと思えば最大135ccまで可能です。ただしそこまでやろうとすればもう一台買えるぐらいの金額がかかります。それなら免許をとってET3とかに買い替えたほうが良いのではないでしょうか。低予算でそこそこバランスの良いのは75cc位でしょう。102ccのキットを入れる場合はクラッチギア、キャブレターのほうまで交換しないとバランスの良いエンジンにはなりません。もちろん、ボアアップした場合は改造登録をすれば30km/hの制限もなくなりますし、二人乗りも出来るようになります。(ただし、免許が無いとだめですが)
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チャオはパワーアップできるのでしょうか?

 できます。60ccのキットがありますので排気量を20%アップすることができます。数量限定になりますが75ccにすることも可能です。
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チャオの加速が悪くなってきましたどこが悪いのでしょうか?

ドライブベルトが滑っている可能性があります。チャオのノーマルベルトはあまり性能が良くありません。スリップしやすいのでエンジンのパワーが効率良くタイヤに伝わらないのです。ベルトの張りを調整するか、食い付きの良いベルトに交換したほうが良いでしょう。ベルトの交換だけでもかなり乗り味は変わります。当店では納車時にほとんどの方がベルトを交換しています。アメリカ製のベルトがあるのですが耐久性はかなりあります。
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50sは遅いのでチャンバーを入れば速くなるでしょうか?

 高回転域が伸びるというような効果はありますが、劇的なパワーアップは期待しないほうが良いでしょう。また、かえって低速のパワーがなくなる傾向にもありますのでマフラーだけの交換はあまりお勧めしません。順番としてはシリンダーのほうが先でしょう。
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PXをボアアップしたいのですが。

 キットとしては213ccになるものがありますが、日本向けのPXの場合セルモーターが付いていますので、フライホイルのリングギアとシリンダーが干渉してしまいます。リングギアを取り去ってしまうか、シリンダーのほうを削って加工するかどちらかが必要です。いずれもあまりお勧め出来ませんし、このキットは低速トルクも若干落ちますのでどうしても高速性能がが欲しいという人以外はやめたほうが無難でしょう。(Pの場合はそのままで付きます。)
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信号待ちで止まっているとアイドリングがだんだん高くなっていきます。何処がおかしいのでしょう。

 吸気系統に問題がありそうです。キャブレターの緩みやインレットマニーホールドの緩み、またはマニーホールドの付け根部分に亀裂が入っている場合もあります。緩んでいるだけの場合は締めてやれば済みますが、マニーホールドの亀裂は補修も可能ですが基本的には部品交換になるでしょう。亀裂はやがて破断に至りますので早めの処置をお勧めします。
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